こんばんは、ポテ吉です。
本日は今日診察した症例からお話しをさせて頂こうと思います。
16歳のトイプードル♂。
もともと心臓の病気(僧帽弁閉鎖不全症)を持っていました。
夜ウロウロしていて寝ない、呼吸が荒いということでいらしゃいました。
さて、この患者さんは放っておいて大丈夫なのでしょうか?
当然ダメですよね。
「大丈夫でしょ」と思ったあなた!このブログを読んでてよかったね!!説明するよ!!!
電話でこの症状を言われたら、爆速で連れて来いといいます。
嘘です。なるべく早く来てねって言います。
診察時間外であろうが、夜間であろうが来てもらう必要があります。
なぜならこの症例は“肺水腫”の可能性が高いからです。
肺水腫って何ですか?
なかなか耳慣れない言葉ですよね。
肺水腫:肺胞内に液体が貯留し、正常な酸素と二酸化炭素の交換ができなくなった状態。
要は、『めちゃくちゃ苦しくて死んじゃいそう』ってことです。
患者さんには“陸で溺れているのと同じ”と説明しています。
この状態は是が非でも改善させなければマジで命に関わります。
なので、今まさにその状態を見ているあなた!病院に駆け込んでください。おおマジで!!
そこが判断できたら苦労しないですよね。だからこの記事読んでくれてるんですもんね。
なので、今回の症例で肺水腫を疑ったポイントを説明してみます。
①心臓病(僧帽弁閉鎖不全症)を患っている
これはわかりやすいですよね。
もともと病気があるのですから、それが悪化すれば具合が悪くなるのは理解されやすいと思います。
心臓の病気に関してはどこかで詳しくお話ししたいと思っていますので、今回は割愛。
②ウロウロして寝ない
寝ないんじゃなくて、“寝られない”のです。
肺水腫はとにかく苦しいので、寝ることができません。なので、仕方なくウロウロしているのです。
感覚的に、
1. 横になって寝られている(片方の肺が潰れていても呼吸が苦しくない) 正常
2. ずっと伏せて寝ている(横になると苦しいかも)。 この辺りは判断難しい
3. 伏せて寝ているようで起きている(寝られないが伏せていられる) このくらいで気づく
4. ずっと立っている(呼吸が苦しくて寝られない) かなり状態悪い
5. 前足を広げて立っている(苦しすぎる!!!なんとか酸素を取り込みたいけど) 死んじゃうかも
みたいな段階を踏むことが多いと思います。
3で気づいてもらえると早期に治療できますが、異常が見当たらないなんてこともあリマス。
後々悪くなるかもしれないので、要注意。
③呼吸が荒い
電話等で実際に患者さんを診ていない時に“呼吸が荒い“と表現されると、
“呼吸が早い“のか、“呼吸の音が大きい”のかがわからないことがあるので、どちらかを明確に表現するといいと思います。
今回の場合は前者(呼吸が早い)の状態でしたが、後者(呼吸の音が大きい)の場合は病気がまるで変わってきます。
例えば、前者の場合、肺水腫もそうですが、何かしらの痛みや興奮でもみられる症状です。
対して、後者の場合、喉に何か詰まっているとか(異物や腫瘍とか)、喘息(ヒューヒュー呼吸する)
なんかが候補として考えられます。
呼吸が早いってどのくらい?
まず、犬の正常な呼吸数を知っておく必要があります。やっと科学的データをお示しできます。
Rishniw, M & Ljungvall, Ingrid & Porciello, Francesco & Haggstrom, Jens & Ohad, Dan. (2012). Sleeping respiratory rates in apparently healthy adult dogs. Research in veterinary science. 93. 965-9. 10.1016/j.rvsc.2011.12.014.
読まなくてもいいです。
安静時呼吸数はおおよそ20回/分以下、睡眠時はさらに低下(15回/分)
ってことを覚えておいてください。
そして、肺水腫の場合は40回/分以上と覚えておいてください。
これを見逃すオーナーはあまりいないように思います。
ただ呼吸が早いだけで意外と元気な子もいたりするので、大丈夫かな?と思ってしまう方もいます。
実際、この症例は2日前から呼吸が早かったとのことでした。
呼吸数の測り方は??
明らかに呼吸が早くて口を開けて呼吸している場合は、計測するまでもないのでそのまま病院へ。
呼吸数を測るために特別な器具は入りません。
じっとしている動物の胸を見つめて、胸全体が10秒間で何回膨らむかを見れば大体把握できます。
10秒間で10回であれば呼吸数は60回/分です。異常です。病院へ行きましょう。
じゃあ30回は?ってことなのですが。これもやっぱり異常です。
普通は20回以下なので、この場合も一旦獣医さんに相談してもいいと思います。
今回は、“呼吸が早い“ということに焦点を当ててお話ししました。
覚えて欲しいのは安静にしている犬は呼吸数が20回/分以下てとこです。
肺水腫を例にお話しましたが、肺炎でも同じ症状がみられます。どっちにしても病院へGO。
こんな感じで、記事を書いていこうと思います。加筆修正ガシガシする予定なので、悪しからず!
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